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メディカルアイの「診療会議」では、開業医が診療に専念できる環境を整備するため のより良い方法を開業医の皆様とともに考えていきます。

ゴールデン・ウィーク特集
レセプトのオンライン請求について考える 第2回
2009年04月30日

メディカルアイの「診療会議」では、開業医が診療に専念できる環境を整備するためのより良い方法を開業医の皆様とともに考えていきます。

3回シリーズでお送りする「レセプト・オンライン請求について考える」の第2回です。今回も引き続き、医療コンサルタントとして活躍されている成松亮さん(株式会社NTTPCコミュニケーションズ勤務)と一緒に、検討のポイントを考えたいと思います。

山口: 前回のおさらいですが、まずは「現在の仕事のやり方からみて電子請求の対応に問題が生じないかどうかを考えて課題や不安を取り除くことが大事」でした。さらに、実際に導入する際には「お使いのレセプトコンピュータでレセプト電算処理ができるか確認する」、その上で、「診療所の院内環境に合わせたネットワーク(回線)を選択する」ことが必要だと伺いました。このお話をもとに、診療所の先生方にアンケートを実施しましたので結果を見たいと思います。今回は984名の先生にご協力いただきました。ありがとうございました。

図: 

成松氏: お忙しくて検討が進んでいない先生が多いようですね。しかし、対応するとなると、今日決めて明日からオンラインで請求するというわけにも行きません。またネットワークを提供する通信業者も一度に全ての依頼に対応することはできないでしょうから、余裕を持って準備を進める必要がありますね。

山口: オンライン請求へのステップを2つに分けて、それぞれ検討のポイントを教えていただけますでしょうか。

ステップ1:お使いのレセプトコンピュータでレセプト電算処理ができるか確認する
ステップ2:診療所の院内環境に合わせたネットワーク(回線)を選択する

成松氏:

ステップ1:お使いのレセプトコンピュータで、レセプト電算処理ができるようになっている場合は、同コンピュータのベンダに、オンライン請求用のファイルを作成する手順を確認し作業を進めることになります。

オンライン請求に向けたレセプトコンピュータ側の準備としては、オンライン請求用データの作成プログラムが用意されていることに加え、診療行為や薬剤などのマスタ項目が社会保険診療報酬支払基金で提供している基本マスタに則ったものになっていることが求められます。ですから、それら一連の項目の確認も必要です。もしマスタ項目が基本マスタに則っていない場合は、マスタ項目の見直し・改訂作業が発生し、コストアップにつながります。

オンライン請求に対応していないため、バージョンアップや追加の費用が必要な場合は、新しいコンピュータに入れ替えることも視野に入れたらよいでしょう。特に、古い機種の場合にはバージョンアップしてもオンライン請求に対応できないものもあります。新しい機種では古い機種にはなかった機能が付加されているものもありますし、この機会にご自身にあった電子カルテも併せて導入し、それに対応できるレセプトコンピュータを導入することも選択肢の一つになります。費用面、また機能面でどれだけご自身の業務が改善できるかという視点で検討されてはいかがでしょうか。

山口: なるほど、そうですね。最近では安価でかつ機能豊富な製品が多くのベンダから出てきていますから、見直しのいいタイミングかもしれませんね。では、次のステップ2:「診療所の院内環境に合わせたネットワーク(回線)を選択する」はどのような視点で考えればいいでしょうか。

成松氏:今回はわかりやすくするために、とても大まかにまとめてみました。回線には大きく3つの選択肢があります。それぞれの特徴として、院内のネットワークをまったく変えずに追加で専用線を引くイメージなら、ダイヤルアップかIP-VPN接続です。既存の院内のネットワークを見直し、新たに最適なネットワーク構成を考えたい場合はブロードバンドのインターネット接続方式になります。この場合は、この回線を通常のインターネット回線としても使えますので、場合によっては院内のネットワーク(回線)のコストを削減することも可能になります。

図:

山口: 先生方がすでにお持ちのネットワーク(回線)の状況や今後のインターネットの利用方法によって、選択が変わるわけですね。

成松氏: 医療機関連携やその他のネットワークで提供されるサービスが大変多くなっています。今後も、これらが必要になるケースはますます増えると思いますので、それも考慮してネットワークを選択しないと、よけいなコストを払うことになりかねません。

山口: ありがとうございます。今後どうやってインターネットを活用していくのか、先生の採る方針がポイントになりますね。

成松氏: そうですね。レセプト請求のオンライン化は、それだけを考えると診療所にとって際立ったメリットがある訳ではありませんが、今回をよいチャンスと捉えて、レセプトコンピュータやネットワークをさらに活用することを考えてはどうでしょう。一般的に、コンピュータが恩恵を与えてくれるケースは大変多く、仕事を迅速に確実に行う上では非常に便利なツールです。また、ネットワークをうまく使えば、診療所という閉じた環境を、周辺地域や多くのコミュニティまで広げてくれます。この機会に、診療所経営の改革・効率化を進める上で必須となる情報システム・ネットワーク導入を検討してみたらよいのではないでしょうか。

山口: ありがとうございます。次回は、レセプト・オンライン請求をご検討中の先生方に向けて、検討材料になる提案をお届けしたいと思います。

 

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