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フィルムレスは必須?デジタル映像化処理加算(CR)の廃止 第1回
2009年09月02日

今回は、PACS(医用画像保存・通信システム)を取り巻く状況と、PACS導入のメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。

現在、診療所において電子化の波が本格化してきています。2001年に厚生労働省が電子カルテ普及推進のため補助金を交付しましたが、普及率は1桁のまま推移しました。しかし現在は、診療所における電子カルテの普及率が2008年度には13%と推定されており、新規開業においては約70%が電子カルテを導入するなど、診療所における電子化が加速し始めています。

同様に、画像診断の電子化の波も本格化してきています。厚生労働省が「デジタル映像化処理加算」を設置しましたが、2007年にはデジタル加算の普及率が70%を超え、フィルムレスを推進するため「電子画像管理加算」に改める方針を表明しています。

そのため、「デジタル映像化処理加算」に対応するためにCRは導入したけれど、PACSは未導入という診療所は注意が必要です。既に2008年度の診療報酬改訂で「デジタル映像化処理加算」が大幅に引き下げられていますが、2010年3月末には廃止される予定のため、PACS(医用画像保存・通信システム)を導入しなければ大幅な減収になります。

PACSの導入を検討する際の要因として、短中期的には「電子画像管理加算」による診療点数が大きな位置を占めますが、中長期的には診療点数以外にも多くのメリットがあります。

  • フィルム代・現像液代・現像機維持費・フィルム搬送費などのランニングコスト削減
  • 暗室・フィルム保管庫などの省スペース化
  • フィルム整理・管理・検索・出し入れなど時間や人的コストの削減
  • 撮影から参照までの時間短縮

 また、PACSを院外とのネットワークに活用した際の副次効果として、画像転送・共有による地域医療連携への貢献、特にCTやMRI画像を電子化されている医療機関は遠隔画像診断の活用による読影リスクの回避などもあります。

これらによる効果の大きさは診療所毎にスタッフ数や撮影枚数、立地などによって異なりますが、大幅なコスト削減や収入増につながる事例もあるようです。

現在のCR導入状況などに関わらず、PACS導入によるコスト削減や医業収入増の可能性について、検討されてはいかがでしょうか。次回はPACSの導入に当っての不安などにお答えする予定です。